夏のおやつ

五月も終わりに近づきまして、五月晴れの日も少なく感じます。
このまま梅雨にはいるのでしょうか?

「はぁっ…やっと、やっと帰って来れたわ」

両手の荷物を投げ出して、リビングで大の字になるマイコ先生。

「急でございましたからな。一息入れましょう」

私たちは先週の週末より、大旦那様のおられる京都に参っておりました。
何分、急なお呼出でございまして、取る物も取り敢えずと言った様子で、駆けつけた次第でございます。

「お爺様のわがままにも呆れるわ」

「大旦那様も御健勝で何よりでございました」

「そうね。菅もたいへんだったんじゃない?アレやコレやと言い付けられて」

「まぁ、それは構わないのですが…まさか、師匠もおいでになっていたのには参りました」

「あはは。でも、先生のも美味しかったわ」

「私の師匠でございますから」

「でも、わたしは菅のお料理の方が好きかな」

「ありがとうございます。お茶うけはこちらにしましょう」

私の荷物の中から、一つの菓子折りを取り出します。

それは、初夏の香る和菓子。

青竹に流し込まれた水羊羹。

「やったぁ!これ好きなのよね」

「では、お茶をお持ちしますね」

「はーい」